ゲイリー・ハイドニック

出典

 

ゲイリー・ハイドニック(1943~1999)は、アメリカの犯罪史上にその名を残しているシリアルキラーの一人。「ハンバーガー司祭」という、親しみやすいニックネームを持っていますが、本性は親しみやすいどころか、人間の皮をかぶった悪魔のように残虐です。

 

「女達を集めて(自分の)子供ファームを作りたい」。
こう聞いただけでも、まっとうな思考の持ち主でないことは明白ですね。さらに、目的をかなえるために監禁、拷問、虐待、レイプ、カニバリズムと、被害者に対しておよそ悪の限りをつくしたとなれば、ハイドニックの行動は、精神異常と受け止められても不思議ではありません。しかし、彼の場合は単に「頭がおかしい」というだけでなく、犯行は緻密な計画の上に成り立っていたんですね。

 

今回は、そんなハイドニックの異常性と計画性についてスポットを当てて見たいと思います。

 

 

今回参考にした動画(どちらも英語)

 

Born to Kill - Gary Heidnik

 

 

Serial Killer - Gary Heidnik

 

 

ゲイリー・ハイドニックの生い立ちと事件の概要

ゲイリーは1943年11月21日、オハイオ州クリーブランドに生まれる。
両親はゲイリーが2歳の時に離婚、その後は父親から虐待を受けながら育った。

 

お仕置きとしてゲイリーを2階から吊るしたり、見せしめとしておねしょをしたシーツをベランダに干したりという父親の行動は、しつけを通り越して子供の自尊心を破壊するものだった。

 

ゲイリーは6歳の時に木から落ちて頭を負傷する。
この一件を堺に、ゲイリーは動物を虐待し始めたという。

 

成長したゲイリーは、軍人になることを夢見て、17歳の時にアメリカ陸軍に入隊する。

 

西ドイツ(当時)にあるランツタールの駐留部隊に配属された後、重度の頭痛やめまいなどの症状を訴えるようになり、精神障害と診断された。1962年には、ペンシルバニアにある陸軍病院に入院、統合失調症と診断されたため、軍を名誉除隊した。

 

除隊後ゲイリーは株式投資にのめり込み、およそ50万ドルの資産を築いたという。その後神のお告げを聞いたとして、1971年に「神のしもべ統一教会」という宗教法人を設立する。説教をした後、信者たちにハンバーガーを振る舞っていたゲイリーは、いつしか「ハンバーガー司祭」と呼ばれるようになる。

 

ゲイリーが犯行に手を染め始めたのは、1970年代の後半に入ってから。自分の子供を持つ強迫観念に駆られ、黒人女性を監禁し暴行を加えるようになった。初めて逮捕されたのは1978年で、実刑判決を受けた。1983年に仮釈放されたゲイリーは、フィリピン女性と知り合い結婚。しかし、この結婚は3ヶ月しか続かず、女性はゲイリーに妊娠していることを告げぬまま、男の子を出産した。

 

自分の子供をたくさん持つことに執着したゲイリーは、地下室に女性を集め、「ベイビーファーム」を作ることを決める。1986年11月26日に26歳の売春婦Aを監禁したのを皮切りに、翌年の1月18日までに監禁された売春婦は5人になった(最終的には6人)。

 

ゲイリーは被害者たちに暴行を加えるだけでなく、食事を与えないなどの虐待、さらにレズ行為などを強要したという。

 

2月に拷問などで弱っていた1人が餓死する。ゲイリーは彼女の遺体をチェーンソーでバラバラにし、その一部を冷凍庫に入れ、頭を鍋に入れて茹でた。被害者の一人は、ゲイリーにその鍋を見せられてひどく怯え、「次は自分の番だ」という妄想にとりつかれたという。事実、その被害者は後日拷問の末、感電死した。

 

 

事件が明るみになったのは、3月24日のこと。ゲイリーに、自分の子供と会うことを許されたAが、ボーイフレンドの家に駆け込み、自分の身に起きたことを説明した。通報を受けた警察はゲイリーの家に訪れ、地下室にいた3人の女性を保護する。キッチンには被害者のものと見られる骨や体の一部が残されたままだった。

 

 

ゲイリーの裁判は、1988年6月20日に始まった。最終的に、ゲイリーは2件の殺人事件で死刑判決を受ける。1999年7月6日、死刑が執行された。

 

 

ハイドニックの異常性:常軌を逸した犯行

「女性を監禁して子供をたくさん産ませよう」という考え方自体が異常ですね。
この異常さは、精神障害からきていると考えてもおかしくありません。

 

  • 暴力的な親に育てられた
  • 子供の頃頭を負傷し、動物を虐待していた
  • 精神病と診断されたことも何度もある

 

というふうに、ハイドニックは昔からシリアルキラーとしての環境的・社会的(または遺伝的)な要因が揃っていました。

 

こうした精神的な異常性は、犯行時の行動にも見られます。

 

ハイドニックの家に踏み込んだ警察は、壁一面に硬貨や紙幣が貼りつけてあったことにびっくりしたと言います。直接犯罪に繋がっているわけではありませんが、彼の異常性を物語っているのではないでしょうか。

 

さらに、女性たちを鎖でつないで、劣悪な環境の中監禁する。
最初に死亡した被害者をバラし、その肉を犬の餌と混ぜて被害者に食べることを強制する、といった行為も。

 

ストーン博士は、自身が確立した「邪悪な尺度」を用いて、ハイドニックを最も邪悪な「サディスティックなサイコパス」のカテゴリに分類しましたが、納得です。

 

ハイドニックの計画性:犯行現場を長期にわたってコントロール

ハイドニックはエド・ゲインのように、「法律的な精神異常がある」とは見なされませんでした。

 

エド・ゲインとは犯行の動機も行動も異なりますが、ゲインもハイドニックも、通常人ではとても考えられない、おぞましい行為に及んだことは間違いありません。

 

ストーン博士は、精神障害が、ハイドニックの犯行に部分的に影響していると認めていますが、長期間にわたって被害者を監禁し、拷問を加えている点は「計画的である」としています。

 

ハイドニック自身、「(監禁や拷問は)意識的に行なっていた」と告白しています(動画は英語です)。

 

 

 

目が怖い…

 

 

ハイドニックは精神病を患っている反面、IQが130と高く、株で大儲けするなど頭脳的に優れていました。善悪の判断がつかないほど頭がおかしくなっていなかった、ということですね。

 

ハイドニックが計画的に犯行を進めていたことを象徴するエピソードがもう一つあります。

 

ハイドニックは最初に死亡した被害者の遺体を屋内で処理しました。しかし、頭を茹でていた鍋が焦げて、悪臭を放ったため、近隣住人が警察に通報。

 

その時は、警察に言い訳をして難を逃れましたが、ハイドニックはこの経験から、次に死亡した被害者の遺体を、家から遠く離れた場所に遺棄したのです。頭が錯乱状態だったら、このように理路整然と考えることは難しいでしょう。

 

そうです、ハイドニックの犯行には、異常なことを頭に描いて、計画的に実行したのです。

 

まとめ:ゲイリー・ハイドニックは異常性と計画性で悪夢を生み出したシリアルキラー

ゲイリー・ハイドニックについてご紹介しました。ハイドニックは、精神障害がありながら、計算高いという、両局面を持つシリアルキラーでした。

 

異常なことを思いついて、冷徹に行動する。彼の悪夢のような犯行は、異常性と計画性の連携プレーで生まれたと言えます。

 

 

まったく、恐ろしい話です。